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源氏物語
五/若紫
これみつばかり御ともにて、のぞきたまへば、〈○源氏〉たゞこのにしおもてにしも、ぢぶつすへたてまつりて、おこなふあま成けり、すだれすこしあげて、はなたてまつるめり、中のはしらによりいて、けうそくのうへに経おおきて、いとなやましげによみいたるあま君、たゞ人とみえず、四十あまりばかりにて、いとしろくあてにやせたれど、つらつきふくらかに、まみのほどかみのうつくしげにそがれたるすえも、中々ながきよりもこよなういまめかしきものかなと、哀にみ給ふ、