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倭訓栞
前編二十九/末
まくら 枕は目座の義也、又纏の義ともいへり、万葉集に、まかんおまくらかんともよみ、枕の字おまかんとよみ、又薦枕相巻之児毛と見え、日本紀の歌に、あひまくらまくともよみて、神武紀に、枕おまきともよめり、古へは専ら括枕なるべければ、是も亦一義なるべし、南海寄帰伝にも、南海十島、西国五天、皆不用木枕、用囊枕とも見えたり、西土に紙枕、皮枕、石枕、方枕等見えたり、又香枕あり、歌に、新枕、手枕、袖枕、小夜枕、草枕、篠枕、薦枕、杉枕、岩枕、磯枕、小菅の枕、柘の小枕、敷妙の枕などよめり、万葉集にすがまくらとも見ゆ、