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嬉遊笑覧
八/忌諱
因に雲、或寺に貘枕(○○)あり、伝へていふ、加藤清正朝鮮より将来し物なりといへり、その枕お見しに、すべて木彫にて漆おぬり彩りたり、歯と爪とは獣の真物お鏤む、其形は頭の左右より前足出て蹲踞(うづくまり)たるやうに作り、下に筥の如き台あり、頭のうへに船底の形したる板ありて、是お枕とするなり、喉の内に括機ありて頭上板の横側だてば口お開く、眼の玉すこし高く出て摩れば、くる〳〵めぐり、耳も前後に動く、おもふに是は虎枕なり、〈○下略〉