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源氏物語
九/葵
いとおかしげなる人の、いたうよはりそこなはれて、有かなきかの気色にてふし給へるさま、いとらうたげにくるしげなり、御ぐしのみだれたるすぢもなく、はら〳〵とかゝれる枕のほど、ありがたきまでみゆれば、とし比何事おあかぬことありて、おもひつらんとあやしきまでうちまもられ給、