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枕草子春曙抄

題号お枕草紙といへる心は、〈○中略〉此草紙の奥に雲、宮のおまへに、内のおとゞの奉り給へりしお、是に何おかゝまし、うへの御前には、史記といふ文おなんかゝせ給へるとのたまはせしお、枕にこそはし侍らめと申しかば、さはえよとて給はせたりしお、あやしきお、こよや何やとつきせずおほかるかみのかずお書つくさんとせしに、いと、物おぼえぬことぞおほかるやと雲々、枕にこそし侍らめとて申うけたる物に、かゝれたる草紙なれば、まくらさうしと申侍るなるべし、