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源氏物語
九/葵
ひるつかたわたり給て、なやましげにし給らんは、いかなる御こゝちぞ、けふはごもうたで、さう〴〵しやとて、のぞき給へば、いよ〳〵御ぞひきがづきてふし給へり、人々しりぞきつゝさぶらへば、より給て、などかくいぶせき御もてなしぞ、思のほかにこゝろうくこそおはしけれな、人もいかにあやしとおもふらんとて、御ふすまお引やり給へれば、あせにおしひたして、ひたいがみも、いたうぬれ給へり、