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枕草子
十一
宮は、内へいらせ給ひぬるもしらず、女房のずさどもは、二条の宮にぞおはしまさんとて、そこにみないきいて、まてど〳〵見えぬほどに、夜いたふ更ぬ、内にはとのいものもてきたらんとまつに、きよく見えず、あざやかなるきぬの身にもつかぬおきて、さむきまゝににくみはらだてどかひなし、