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庭訓往来抄

北物(○○)と雲に一説あり、織物板の物旧びたるお張拵へて、国裏お属(つく)る也、綿お多く入て、夜るの物(○○○○)とて夜著にするなり、又おひえ(○○○)など雲也、然るに彼のよぎ(○○)お北の物と雲事は、裏に越後おするに依て、北の物と雲也、又おひえと雲事も、冬は北より来る物也、越後の国則ち北なり、此縁お取て雲なり、総じて国裏と雲は、越後より外につくべからず、絹裏の外おば、隻裏布のうらなんどヽ雲也、又何くの国にも布は有に依て、くに裏と雲か、悉く公家より出る詞なり、布子(○○)おば綿入と雲なり、是はおひへと雲義ちがふなり、