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提醒紀談

片袖夜著(○○○○)酒井家の藩士草野文左衛門といふ人、若州へ来りて三四年の間は、夜具(○○)と雲ものもなくて、夜分寝る時には、あり合せし綿入布子、お引かけて臥しけり、五年ばかりも過ぎて、やう〳〵夜著(○○)おこしらへけるに、世間に用るものとは異様にして、その製四幅にて、半分は袖なくして敷物とし、片身は袖おつけて夜著とす、是はむかし戦国使用の制にて、片袖夜著と名づくるよしなり、
東照宮にも、この片袖の夜著お御用ひありしといふ、