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嘩錄

蚊帳の釣様、右へ今のごとく紐おもてつる事、且而見及ばず、加賀守貞助雑記、条々聞書等、棹お以つる事みえたり、又今のごとく日毎に撤することにてもなし、吉日おえらびてつり初〈め〉、吉日お撰びて撤する也、そのつり様、今江都に絶て見えざれども、田舎には古のごとく、棹お以つるとぞ、つくしの人にあひて聞つたへたり、又如此つるかやは〓ごとに耳あり、〈○図略〉
〈頭書〉美成雲蚊帳おつる事、本書のごとく古るく見えず、えがけるものかつてなし、狩野永徳かさとりの蚊帳紐にてつりたり、されど乳ごとに紐お通せり、その比のさま見るべし、