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日本新永代蔵

仏の箔お削る頓欲の鉋
材木河岸の桔梗屋とて、今冬木三文字屋にも、肩お並ぶる商人、以前に身代の時の話お聞くに、油土器の鋳物お拵へ、内お朱にぬらせ、永代土器と名付て売出しけるに、去とは常と違ひ、先奇麗にて見よげに、掃除の度毎に油すたらず、光り一段強し、是朱に灯火の照合ゆへなり、然も油の減格別少なし、世の調法天下の宝なりとて、買はやらかして、僅の事より五百両の身上となり、〈○下略〉