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柳亭筆記

子の日の灯心
甲子日に灯心お買へば、かならず其家富栄ゆるといふ事、正しき証は知らざれど、是大黒へ福お祈るより出し事なるべし、その故に此日灯心の市おたてゝ、棚おかざる所あり、又売りにも来れり、俳諧の句には、子灯心なんどいひて、中むかしより多く見えたり、季吟廿会集、〈完文四年印本〉とう(前句)しんとうしんとまちやあかさん、友光、甲子(附句)おおりに幸ねまつりに、季吟、落花集、〈完文十一年似仙撰〉用ゆるや虎のいおかる子灯心、如貞、〈○下略〉