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雅遊漫錄

書灯
癯仙神隠曰、書灯以薄木板作之、如木櫃状、黒漆文之、完六七寸、隻可一小灯盞、高八寸、項有円竅径三寸、前有弔窓、掛起則灯光直射於書上、其明倍於常灯、香油一斤入桐油三両耐点、又辟鼠耗、以塩置盞中亦可省油、以生薑擦盞辺不生暈、
此製既に此土古よりあり、板お以て上狭下広く造り、三方円竅あり、前にひらき戸有、上に煙ぬきの竅あり世にしるごとし、有明行灯(○○○○)と雲もの是なり、余〈○大枝流芳〉新に良法お出す、行灯大小方円おえらばず、灯火の前遮灯板おまふく、其制横六寸計、竪四寸計の薄板お造、上の左右に一尺二三寸の糸お付て、糸の終りに一銭半計の鎮お付、糸おあんどうの上の横木に打かけ、提昂意に任てよきかげんに灯火おさへぎり、じきに火お不見、下より光おとりて書面お照す、一には目お養、じきに火お見ざれば也、二には風にあたらず、火不動して油も耗ず、三には油煙眼に至らず、四には光外に洩ず、直に書お照〈せ〉ば、光明外の法よりも勝る、此四徳有、援に図してさとらしむ、〈○図略〉また一名継晷(けいき)板と雲、これ韓退之焼膏油継晷といふ句によれり、