[p.0246]
嬉遊笑覧
十下/火燭
ひじり行灯(○○○○○)は、諸艶大鑑、非寺里行灯の光おうけて、大かた隙日お暮しかねたる女郎雲々、局みせのかけ行灯(○○○○)お雲り、ひじりとは高野聖の笈めく故の名にや、又赤き紙にて占たるは、もとたばこやの目印なり、艶道通鑑、通天の紅葉おいふ所、此里のたばこ売が赤あんどん(○○○○○)は、是よりぞ本づきぬらんとは、紅葉のてるおいふなり、こは近くまでさありしにや、六玉川二編、俤の夜の障子やたばこ〓、などもみゆ、今も烟草やはかき色の暖簾かくるもおなじ目印なり、〈西瓜の赤あんどん(○○○○○○○○)も、これよりや出つらん、○下略〉