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甲子夜話
四十一
都下諸大名の往還するに、その行装尋常と殊なるあり、眼に留まる所おこヽに挙ぐ、〈○中略〉
秋田侯夜行の灯灯は、白張にして紋なし、凶具の如し、祖先にその由ありて用ひ来ると雲、
吉田侯〈松平伊豆守〉の灯灯は、骨殊に太く間あらし、尋常のものと異なり、是も祖先武用穿鑿の人ありて、要法お以てかくせりとぞ、刀お以て払切るとき、骨に当りて切れぬやうにとて、鉄お以て骨にせりとぞ、