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八水随筆
南郭先生小豆飯好物にて、膳に向はれし所へ、金華来られ、何お食し給ふ、あづきめし也、足下の食の俗なる事と笑われしよし、予思ふに金華先生鬼の首お、てうちんの紋に付られしお徂来先生の見給ひて、金華が物ずきの俗なると笑はれしと也、尋常の人小豆めしお食し、鬼の首お画してうちんとぼしたればとて、俗中には目にも立まじけれども、雅人の俗お弄ばるゝは、却て雅のさたになるもあぢなものなり、