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本朝世事談綺
二/器用
蠟燭
文禄年中までは、日本に蠟燭なし、助左衛門が献ずるらうそくに効てこれお製す、蠟お採もの凡五種あり、漆樹(うるしのき)、荏桐(えぎり)、榛(はち)、だまの木、烏臼木(うきうもく)、また女貞木(いぼたのき)よりも取ると本草にあり、雍州府志に雲、黄白の蜜壼の底に凝滞ものお取て蠟とす、
唐らうそくは、真に葭お用る、よつて折として立消のあるもの也、本朝の人これお考へ、灯心お巻て真とす、はなはだ上品なり、