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宗五大草紙

色々の事
一蠟燭のさき取事、ぬきて取はわろし、其儘可取、作去やうによるべし、公方様にて猿楽の時、舞台にとぼされ候有明の先おば、御供衆の内に若衆御とり候、それも立ながら先お御とり候、先ながれたるらうお御取候て、さきお入候物に入られ候て、扠さきお御取候、両の御手にてはさみ御切侯、常の先とるやうにはなし、しるしがたし、又御前にとぼされ候水の台のしむおも、さしながら御取候、さきとりはだいに候へども、こなたより先とり、さき入候物おも御持参候て御取候、又さき取故実には、あさ〳〵と取たるがよく候、ふかく取候へば、ふときゆる事も候、〈○中略〉又わたましの時は、公私共に蠟燭は朱おかけず候、又衣装も男女共にしろし、