[p.0278]
伊勢物語

むかし男有けり、その男いせの国にかりのつかひにいきけるに、〈○中略〉女がたより出す盃のうらに、歌お書て出したり、取てみれば、
かち人のわたれどぬれぬえにしあれば、とかきてすへはなし、その盃のうらに、つい松のすみして歌のすえお書つぐ、
又あふさかの関はこへなん、とて明ればおはりの国へこえにけり、