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今昔物語
二十五
平維茂郎等被殺語第四
太郎介も主の送りして私の宿に行ぬ、其にも私の儲為る者共有ければ、様々に食物菓子酒秣蒭など持運て喤る、九月晦比の事なれば、庭暗ければ所々に柱松(○○)お立たり、太郎介物食ひ畢て高枕して寝ぬ、〈○中略〉介が臥たる所には、布大幕お二重計引き廻したれば、箭など可通くも無し庭に立たる柱松共の光り昼の様に明し、郎等共不緩して廻れば、露の怖れ可有くも無し、