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甲子夜話
三十五
日野一位資枝卿、ある闇夜に端居せられて酒宴ありしとき、一僕に命ぜられて、鉄籠の柄付たる篝火(○○○○○○○○○)お持て、遣水池水のあたり、其所得たる辺に在べしとの旨なりしお、僕よく心得て、築山の茂みより篝火おさし出しければ、持る人の形は見へで、篝火のみ水に映じて、頗る興お添けり、