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源平盛衰記
十六
円満院大輔登山事
円満院の大輔は、宇治の軍お脱れ出て、〈○中略〉つく〳〵物お案ずれば、山僧の心替より角成ぬと、不安思へり、〈○中略〉速に登山して堂舎仏閣悉魔滅の煙となさばやと、大惡心お発し、燧附茸硫黄など用意して、燧袋にしつらひ入、形お修行者法師に造成して、山門へこそ忍登れ、