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古今要覧稿
器財
ひうちげ
ひうちげは燧笥なるべし、今も越後国の農家にてほくちおいれて、腰に佩る物あり、木にて壺のかたちちいさくつくりて、口おかたくせしものなり、ふか田にいりて、水にひたりても、ほくちのしめらぬためなりといふ、これ火うち笥といふべきものなり、又当国〈○武蔵〉児玉郡にて、ほくちおいるゝものお、ひげんといふ、これは火打笥の転ぜしなるべし、