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類聚名物考
調度十一
ほくそ 火屑 今はほくちといふなり 火糞〈○中略〉
今案にほくそは火糞にて、又火屑とも書べし、くそとくずとは相通へり、万葉集に、木糞木屑お共にこずみと訓めり、又今俗に鍛冶の金くそといふあり、是も屑なり、また今俗にほくらといふは、火口の意にて、火の付べきくち故にいふ歟、門戸の意に同じく山口などいふも、端初の意より名付たり、又朽木は火のよくうつる物にて、田舎にては今も朽木お火くちに用ゆれば、火朽の意にていふにや、