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浪花の風
油の事は在より出すは、菜種綿実お絞りたる油にて、綿実お絞りたるお黒油といふ、之お今一度製法して白く成たるお白油といふ、右の白油へ菜種の油お加入して灯油となすなり、右は油問屋方にて調製なせども、相封次第にて、在の油稼の方にても調合なし出すことなり、此製法方、黒油お一旦白油に製し、其上にて菜種の油お加へ、灯油に製すべきお、姦商ども手お抜き、黒油へ直に菜種油お加入して製せし油は、性合不宜して、あかりあしきなり、
菜種は一石に付、大概油屋にて買入の直段、百匁より百十二三匁位なり、猶年の豊凶出来方にて高下あり、此一石の種にて油に絞り、二斗二升程になるよしなり、此油粕大概五玉三分程になるといふ、また綿実の方は同直段にて、目方百貫目位の由、絞油となして一斗八升より二斗位迄取る、油粕は二十一玉程になる、綿実は油は減ずれども粕多き故、差引同直段位に当るといふ、