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大和本草
三/水
石脳油(○○○) 本草にあり、是越後にある臭水(くさうつ)なるべし、田沢の中にあり、土より出る油なり、水にまじれり、又山油と雲、甚くさし、越後に所々に多し、賤民是お酌てせんじ、灯油とす、又信濃越前佐渡にもあり、おらんだより上の油と雲物わたる、是と一物なり、外治の医是お用ゆ、日本紀、天智天皇七年、越国献燃土与燃水とあり、燃土とはすくもの類なるべし、燃水は是くさうづなるべし、燃油とする事、筑紫にくじら油おともし、北地につのじの油おともすがごとし、其価他の油より甚いやし、賤民は山油の出る処に、わらおひたしてこれおともして、家業おつとむ、