[p.0332]
七十一番歌合

七番 左 あぶらうり
宵ごとに都に出るあぶらうり更てのみ見る山崎の月〈○中略〉
左歌、暮ごとにとこそいふべけれ、夜やはあぶらうるべき、〈○中略〉
山崎やすべり道ゆく油うり打こぼすまでなく涙かな〈○中略〉
左歌二首ながら、第三句にあぶらうりとおける、ふところせばくきこゆ、そのうへ此歌の故事お思ふにも、山ざきのうばがもとに、あぶらかひにいたればとこそ侍れ、それおいま作者なれば、油うりとよめるも、本説にたがふめり、たゞあぶらかひと詠べきにこそ、