[p.0339]
人倫訓蒙図彙

柴売女 薪とる賤なり、爪木とは手にて折ほどの薪なり、真柴かるとも、爪木とるとも歌によめり、都の辺山里より薪おいだす、わきて大原木とて名にたかし、此里より出る柴うる女の白き帯に白脚半して、かいてのあれば、かづきたる柴お後ざまよりみするなり、むかし平家の運かたぶきて後、女院大原のおくにすみ給ふ、其下女ども、此所に住居しが、世わたるよすがなふして、柴おうりけるが、さすがおもてお恥て、うしろむきてみせける、其遺風なりとかや、最殊勝の因縁なり、