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人倫訓蒙図彙

炭焼 あやしの山賊の業おもこゝろおつけて観ずれば、心お延るたよりなり、槙立山のおく檜原のかげ、岩のかげ道たど〳〵しく、谷ふかき木の間より立のぼりたるけぶりのありさま、世にたぐひなきは、炭がまの風情なり、かさねの衣はうすけれども、冬の寒さおよろこぶは、炭やく翁の心、世わたるたづき程、かなしきはなかるべし、