諸色直段引下

亨

作恐以書付奉申上候
川辺竹木炭薪問屋行事共奉申上候、当月二十五日被召出、炭荷物仕入方直段、其外御蕁之廉々左に奉申上候、
一炭荷物取扱方之儀者、諸国山方荷主共より、送り状相附積来候品、又者荷物仕入前金貸遣、仕出候品共、問屋に限引請候儀に御座候、
一炭仕出候国々
武蔵 伊豆 相摸 駿河 甲斐 遠江 常陸 上野 下野 上総 下総 安房
右国々より仕出し候
一炭直段之儀者、荷主方より、差直申越候儀に者無之、山方之気配、並に江戸表荷物入津之多少、炭性合出来方之善惡に随ひ、相場相立候儀に御座候、猶近年者、近山之所焼尽、深山に相成、運送諸掛り、費却も多分相掛り候間、荷主共儀も直段引立不申候、而も焼出し方手薄に相成候間、相場引立、焼出方相進せ候儀に御座候、
一問屋口銭請取方之儀者、賈八代金壱両に付銀六匁宛、仕切金高之内に而引去、荷主共〈江〉相渡申候、
一運送其外諸掛り之儀は、問屋共川岸著迄者、都而荷主掛りに御座候、此分問屋に而立替置、前書同様勘定之節引去、残金仕切状相添、荷主〈江〉相渡候儀に御座候、
一問屋共之内、炭重に取扱候者、
拾け年以前 八拾人 当時 八拾九人
一炭荷物入津高
〈五け年平均壱け年〉弐百三拾八万弐千六百八拾俵
〈去申年壱け年〉 凡百七拾万俵余
右之通、昨年者品済に御座候処、去申十一月中、因幡守様御番所御白洲〈江〉被召出、厚き御教諭も御座候に付、問屋共一同品潤沢方精々仕候処、追々荷物入津仕、品潤沢致候間、作恐金座銀座鋳銭座、並に古銅吹所等に而、多分御入用御座候得共、御差支無御座様相成、殊に時節暖気に相成候間、日増に潤沢仕候義に有之、直段引下げ左に奉申土候、
一伊豆炭
〈嘉永七寅年直段平均金壱両に付〉極上 拾五俵 〈是迄直段金壱両に付〉拾三俵 〈今般引下げ金壱両に付〉拾四俵より拾六俵迄
上 〈右同断〉拾八俵 〈右同断〉擡五俵 〈右同断〉拾八俵
中 〈右同断〉弐拾弐俵 〈右同断〉弐拾俵 〈右同断〉弐拾弐俵下 〈右同断〉弐拾八俵 〈右同断〉弐拾三俵 〈右同断〉弐拾四俵より三拾俵迄
右之外、樫炭姥目炭之儀は、其品に応じ売々仕候、〈○上総、房州、駿州、遠州、上州、川越、佐野、栃木、常州、野州等炭、直段略、〉
右御尋に付、此段奉申上候、以上、
〈川辺竹木炭薪問屋行事 本湊町家持丸屋〉
長左衛門〈○以下七人略〉
文久元酉年三月