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玉函叢説

竹笠の事
曾我物語に、富士の牧狩の所には、うす紅にうらうちたるひやうもんの竹笠、また紗金にてうらうちたる浮紋の竹笠など見へたるは、竹の皮などうすくしてあみたるお中にて、裏表おはりたる物にや、されど綾藺笠のごとく、たはやかにはあらざるべけれどことなる晴なれば、風流にしてけるか、いかさまにも常の狩の例にはあらざるべし、