徳川禁令考

五十/降籍者

完政六寅年四月竹之皮細工之儀に付、弾左衛門よら差出候書付、竹の皮笠、竹の皮草履、同裏付、破魔弓箭、此類関東筋百姓町人之方に〈而〉、致細工売渡候〈而〉も、差障無之哉之旨就御尋、作恐左に奉申上候、〈○中略〉
一竹の皮笠の儀は、先年は私手下共一同細工に致来候由に候処、其村々百姓方に〈而〉買集候竹皮、草履細工に相用候程も行足不申候事故、笠お拵候程には竹の皮、間に合不申候間、自ら近頃は笠お拵候儀、相止め居候村々も有之候得共、中には草履裏付等多分売八不申候村々は、笠お細工に仕候村々も有之候間、百姓町人之方に〈而〉、細工に不致候様仕度奉存候、
但右品々は、何れも竹の皮にて拵候品に〈而〉、百姓町人之方に〈而〉、笠お拵候様相成候〈而〉は、其村村百姓町人之方に〈而〉、竹の皮買上候事故、貧窮の手下共、竹の皮買取候儀難相成、右草履細工にも差支難儀仕候間、〈○中略〉殊に関東筋は竹の皮至〈而〉払底之場所に〈而〉百姓町人之方に〈而〉、竹の皮お細工に仕候〈而〉は、迚も草履細工に行足不申、猶又笠お細工に仕候手下共儀は、草履売八兼候場所に〈而〉、笠お渡世に仕候得ば傍難儀仕候、〈○中略〉
右之趣に〈而〉、私手下共儀は、一体商売細工等之品少く、至而手狭に御座候得ば、右品々之外職分無御座、百姓町人之方に〈而〉、右品々細工仕候様相成候〈而〉は、手下共一統差障に相成、難儀至極仕候間、百姓町人之方に〈而〉、細工に不致候様仕度、此段作恐御賢慮御慈悲之程奉願上候、以上、
〈寅〉二月廿月 〈浅草〉弾左衛門印