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守貞漫稿
二十九/笠
藺笠〈○図略〉
灯心草お以て製之、従来未見之、嘉永四年より初て流布し、歩行の武士専ら用之、蓋供には不用之、私の他行のみ用之、大流布也、京坂不用之、
或人曰、従来南部より産製之、南部製は雨中用之時、湿りて編目お塞ぎ雨お洩さず、今専用する物は、嘉水六年より右の藺笠種々の形に造り、市民も希に用之、右の藺笠は、琉球表に造る藺と同く太き物也、又編笠に用ふるは、備後早島表に用ふる細き丸藺なり、