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足薪翁記

塗笠
裏絵又塗笠のうらお、鳥の子、まにあひやうの紙にて張、花鳥の類おえがきたるものあり、俳諧根無草〈宝永元年印、長角撰、〉何やかの物好きとりまぜたるこそいとまめやかなれ、或塗笠に内絵かきたる摸様かゞ笠の内お、緋縮緬にて張り、浅黄羽二重のふと緒、大橋〈元禄八年印本、正武撰、〉夕月にさても祇園の旅、詣、調夕、絵さへなつかし塗笠のうら、如泉、水飛羅免〈元禄十一年印本、艶士撰、〉茗荷谷下りて曲〈つ〉て藤の棚、白糸、花お彩るぬり笠のうら、木巵、春や昔印籠さげた女あり、蓬雨土佐節の浄瑠璃和歌姫道行、対の花籠しほらしき、四季おり〳〵の作り花、内絵のぬり笠ふか〴〵と其とりなりもみよし野の、よし野のお山お雪かと見れば、雪にはあらで、花のふゞきと詠じけん、しがの山越朝あらし、