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守貞漫稿
二十九/笠
韮山笠(○○○)一名薮潜(やぶくヽり)〈○図略〉
豆州韮山代官江川太郎左衛門、西洋炮術に長じ、門人多し、彼輩作始用之、故に名とす、京坂に所無也、守政初より炮術調煉の士専ら用之、紙捻製て形ち編笠の如く、扁平にて小形也、黒漆ぬり、希に記号等箔押に描くもあり、被らざる時は腰に提る、多くは調煉の場にのみ用ひ、往来の間は被る人希也、此笠は西洋炮お扱ふに、すこどーるげーると雲時、陣笠、騎射笠にては障となる故に、是お造り出したるなり、