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近世女風俗考
葛笠菅笠の事
宝永正徳年間より、つま折の加賀笠といふ物流行す、〈○中略〉内証鑑〈宝永七年作、同八年印本、〉に、流行染の小袖ひとつ、〈○中略〉浅黄の帽子、刺櫛、加賀笠は三日喰でも身おはなさず雲々、また色縮緬〈享保三年印本〉巻之三に、こうとうなる仕出し、〈○中略〉渡りまうるの中ぐけ帯、胸高に結び、加賀笠に紫縮めんの帽子雲々、〈これらにて、流行たるお知るべし、〉さて此笠、延享の頃廃せし欺、茶物語、〈享保十九年著述〉明和の頭書に、加賀笠〈○中略〉延享年中以後、此笠すたりて、今より〈明和中おさす〉見れば、振袖に前帯して、加賀笠著たるは可笑事なり雲々、とあればなり、