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守貞漫稿
二十九/笠
六部の笠(○○○○)
廻国修業者〈俗に六十六部と雲〉用之、中央と周りお紺木綿お以て包之、不損お要す也、近来乞丐等回国に扮して門戸に米銭お乞ふ、〈贋者も用之、藺製の笠也、〉
安永の図に回国お画くもの、此紺布おつけたる笠に非ず、然おば此笠お用ふることは近製歟、再考、此笠の中央には、円形の薄板に諸神仏の名お回書し、其表お紺綿もて包み覆ふと也、故に中心に鐶ありて、脱ときは掛之て直に不置之と也、然れば古昼に此お描かざるにより、近製歟と雲しは、余が誤り也、