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甲子夜話
四十一
都下諸大名の往還するに、その行装尋常と殊なるなり、眼に留まる所おこヽに挙ぐ、〈○中略〉
久留米侯の鎗持は、雨天には笠お戴ずして鉢巻おす、手廻りの者はすべて笠なしと雲、〈是は官の式お准用するにや〉
仙台侯の駕籠の者も、雨天には笠なく鉢巻なり、是は古の遺法か、
土佐の高知侯の鎗持も、雨天に笠お用ひず、桐油のしころ頭巾お著す、〈○中略〉
彦根侯〈伊井氏〉は〈○中略〉雨天のときは、手廻りの者、笠はなく濡たるまヽなりと雲、