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類聚名物考
調度二
きぬがさ 蓋 凉傘
古へは皇朝にても炉簿に用られたり、令によれば形四方なりと見ゆ、今仏家に用る天蓋もまた四角なり、これも古への形はのこりたる物なれば、たがふまじきことなり、さるに万葉集に月暈またはおゝがしはの葉お蓋にたとへたる事有り、是はおほよそにいへばにや、又は丸きも有りけるにや、明和元年の春、朝鮮使の来りしお見たるに、浅葱の蓋おさしたるに、よのつねの長柄傘の大さにて、骨は六本か八本ばかり付たれば、角のさしはりて六角の様に見えし、もとより縁にはまた水引お付たり、琉球使の蓋も見たるに、是は二蓋なり、ほねはつねの長柄傘の如くして丸し、又華厳経に蓋雲といふ事有り、これらも丸きおいふなるべし、