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嬉遊笑覧
二中/器用
傘 和名抄、史記音義雲、簦は笠有柄也、〈俗雲大笠〉とあるお、天正のころ、堺の商人呂宋に渡りもて帰りしが始のよしいふ説は非なり、〈○中略〉内宮長暦迭官符に見えたる、菅の大笠といふ物とおなじ、〈菅と藺とはかはれ共、大笠といへるは同じ、〉思ふに柄は用る時さして、常には取収むる物にや、笠は今の唐かさの如く畳まるゝ物にはあらじ、〈○中略〉古書に唐かさおも、かさとのみいひしことあり、太平記にさして行かさぎの山お出しよりの御歌も、傘によせ給ひし也、笠に柄おさしたるがもとなれば、笠とのみもいふべきこと歟、今も唐かさおかさといふ、