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嬉遊笑覧
二中/器用
古き画巻物などに見えたるは更なり、後世貞享元禄の始までも、雨がさ、日傘、大人小児おもに皆長柄也、〈余(喜多村信節)が家にも、この古傘二本まで遺りて有き、〉諸国咄〈貞享二年刻、二、〉幼き女児おいふに、乳母腰もとつきて、入日およける傘さしかけて行雲々、其画も長柄なり、又むかし説経師長き傘おさしたり、一雪が独吟に、〈完文元年江戸にて〉法の師のかたぐ傘月のかさ、後の彼岸にとく辻談義、また古き画に、大路にて食物など売もの傘さしたり、宗因千句〈完文六年〉我家はから笠の下天が下すぐなる道おおこし飴うり、飴屋が傘は今に遺れり、