[p.0449]
万金産業袋
一/器財
傘細工
朱傘(○○)、柄八尺、大〈き〉さ三尺弐寸、骨数五拾本、紙は国栖お用ゆ、荏の油に色よき丹おいれ、火にかけ、よく煮(にや)してひく也、丹はからかさ壱本に壱斤づゝ入もの也、荏の油に丹おいれぬりたる物なれば、つよき事岩のごとし、されば此朱がさ、元来はみな朱ばかりお用ひしが、丹はねだんの心やすきゆへ是おもちゆ、今もいかにも朱お用ゆるもあり、丹にかぎらず、又朱にも限〈る〉べからず、その好にこそよるべし、これは殿上人神祇の人、もつはら用ゆ、しろき袋にいれて、供奉の人これお持、但〈し〉僧徒もこれお用ゆ、源氏絵等にえがく所是也、