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甲子夜話
四十六
織田信長、中国攻のとき、羽柴秀吉お大将として発行せし肱、朱傘お賜て曰、陣中これおさヽせて、我が如く武威お張ること、この傘の開くに比すべしと、秀吉畏りて退去し、直にその傘おさヽせて出行す、信長櫓上より望見て、渠に陣中にて威武お示せと、命ぜしに、早くも此処より人目お輝かせしとて悦賞せしとぞ、