[p.0450]
甲子夜話
四十一
或人途にて値たり迚雲しは、大家の奥方と覚しく、輿に朱傘などさヽせし後に牽馬あり、婦人の供に乗馬お従へられしは珍と言き、夫ゆえその紋など尋たるが、慥にはせざれども、牡丹にやと雲たれば、是れ仙台侯の奥方なり、流石の家風なり、