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古今要覧稿
器財
墨傘
墨傘の名は下学集にみえたるより、古くは未だ見あたらず、円光大師行状絵に、大宮内府〈実宗公〉の亭へ行かれし時、対面のあひだ、門外の屏に墨傘お立かけるたる図見えたり、さて墨傘は雨傘にのみ有ものとおもへりしに、弘法大師行状絵に、日傘に墨傘お画けり、これは印本故墨かすれて見ゆれど、正しくすみ傘とみゆれば、下に図お載す、〈○図略〉猶原本につきて糺すべき事なり、