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万金産業袋
一/器財
傘細工
ひがさ、〈褦襶(ひがさ)〉柄七尺、大〈き〉さ弐尺壱寸、骨数五拾本、柄、大ぼね、小ぼねや天井の間、みな朱ぬり也、但天井の間は紙なれば、右荏の油に丹おいれてぬる、柄ほね等は漆ぬり也、総じての紙は、本式はねづみとて、うす墨にて染れども、当代は隻しら紙そのまゝにて用ゆ、油おひく、右は長老がた、法会規式の時の日傘也、雨の為にはあらず、褦襶の二字は、いづれの詩人の語にか、褦襶待晴開とあれば、むかしより雨のためになき証拠分明也、凉傘とかくは和字にて、これ全く炎暑の時の日よけの傘なるべし、右の褦襶とはすこし心たがへり、〈○中略〉
ひでり傘、これ凉傘の字なるべし、此ころのはやり事にて、あいの染紙一〈つ〉色にはり、日かげ傘(○○○○)とする、仕やう、もみぢ傘の類也、物ずきのすき人仕はじめ、今の腐儒、くすしの族の取あつかふ、同じくは自身に日よけがさ(○○○○○)お指ずとも、乗るべき乗物にのりたきもの也、白紙張にして、青ばななんど引たるは、なお草にしてうるさし、
凉傘、子どもの日よけがさ、草なる物なれば、定りたる事なし、ほね三十本、四拾本、大きさも好む所にしたがふべし、