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守貞漫稿
三十/傘履
弘化以来、雨天傘(○○○)京坂に製す、〈女子の所有歟、須男子用之、〉淡墨紙張〈鼠色也〉僅に荏油お注ぎ、而も形は日傘也、〈日傘はかうばい浅く、雨傘は聊か深き也、又両天町傘白紙に澀引たるもあり、〉宣概三尺二三寸、江戸も男女とも、晴雨不決の日携之て、晴には日傘に用ひ、雨にも用之て暫時お凌ぐ、故に両天の名あり、頃日婦女は、快晴にも専ら用之、〈両天傘、形は日傘也、日傘は雨傘の如く大ならず、又雨傘は深く、日傘は浅き也、此両天傘、小民男女今は霖雨にも用之者希に有之、〉