[p.0462][p.0463]
走衆故実
一かさおば右にさすべし、左の手にては太刀のつかおおさへ候やうにしたるがよく候、
一御傘に参事、昔は御参宮などの時、御宮めぐりなどの時ならでは参候はず候、近年定たるごとく参候、是も御小者の役にてありげに候、上の御左のかたへまはり、右の手お上へなし、左の手お下になして、ゆるがぬやうに参るべし、風など吹候時は、御えぼしにあたらぬやうに、殊気遣ふがしぎなるべし、〈○中略〉一走衆御笠之事、右如申候近年儀也、御異体時は御小者参候、御参宮などの御時、御装束にて御宮めぐりの時は、走衆被参候由に候、恵林院殿様阿州しやうかくじ御動座の時雨ふり候て、各御笠指可申由被仰出候、各存分候つれ共、御門出之事に候間、無左右被参候て、八幡にて如此子細被申入候、被聞召分、如先々たるべき旨、被仰出候つる由、今の小坂殿親父など慥物語之由候、飯川能登殿〈順職〉も御物語候、〈○中略〉
一笠さす事、雨ふり候へば、御輿ぎはの人に被仰出候事も有、又各さし候へと可申かと伺申時もあり、さてさし候お見て、御供衆もさゝれ候つるとて候、