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家中竹馬記
一笠袋之事、法量なし、但式装の時、白き笠袋は、装束お菖蒲革と、五めん革お重てする、其趣凡弓袋の装束のごとし、か様にして装束笠お入、式装束の時用る也、常には白き笠袋相応せぬ事なるお、大名などは平生も持せらるゝ事心得ず、式装の具おば、式装の時こそ可被用に、小すわうの時も、白き笠袋お、大名などは必持せらるべき様に心得は謂れぬ事也、大名の内者も、式装の時は白き笠袋也、装束に随儀也雲々、細川右馬頭殿〈持賢〉は、右京大夫殿〈勝元〉の叔父にて、御供衆の中にも、異に賞玩あれども、平、生は白き笠袋おば持せられず、浅黄に染たる笠袋也、尋常は隻装束もなく、布お浅黄に染てうつたれお一尺計にして、笠お入てもたすべし、装束おせば、白笠袋にする様にすべし、此次第小笠原播州〈元長〉物語なり、〈○又見土岐聞書〉