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守貞漫稿
三十/傘履
天鵝絨袋入傘〈○図略〉 搢紳家武家ともに略䙝用之、又武家式正略䙝ともに用之こと得ざる物多し、不許之者、白袋弥不許之、又許之家にも白袋お許さヾるもあり、官僧は式正略ともに用之、貴人の室娘等、猩々緋紐紅お用ふ、
武家用之、紐多くは黒也、紫紐お用ふること家格による、又用之こと得ざる者、黄滑革袋に納る家あり、又無袋の傘お持家甚多し、
幕府御成略には、黒天袋蓋、紫紐は勿論、柄梨子地葵紋の金蒔絵あり、他は専ら総藤巻也、〈○中略〉又搢紳家も、平日及び旅中には、黒天鵝絨袋入お用ふ、
大名も正月参内傘お用ふことお得ざる者、黒びろうど、黒羅紗袋入也、又袋傘お許ざる家は、裸傘にて持せり、黒天鵝絨袋傘には、家により紫紐免許あり、免許なきは黒紐也、皆長柄傘也、
万石以下は高家に袋傘免許の家もある也、岩松氏は二百石にて袋傘紫紐なり、其他袋 無之歟、旅中には専ら各用之、
官僧は皆各黒びろうど袋傘お用ふ、赤爪折等お用ひて、朱傘に擬す也、